手紙

まだ夜も明けていないのに、もう夕暮れね。

ほら、あの木はシーラカンスに似ているね。冬の枝にぶら下がる葉は水掻きのよう。月もなんだか不機嫌そう。

 

私、突然だけど思ったの。世界は創造されたものでは無いんだって。

こういう事は、ただ知る事しか出来ないのかなって。

要するに些細な様でいて、どんな創造主も考え出す事の出来ない事って必ずあるのではないかって。

それはきっと、目で見るか体で体感するか、頭で思い出すしかないの。

届かないのは、書かれなかった手紙だけ。