寂しさばかり食べて生きる
人との繋がりや社会の中では、自分が居てはいけないような息苦しさと不安を感じ、正しく健やかな人を見ては自分の愚かさが露になる。
ニュースは世界の理不尽さや悪意や混乱を伝え、それが自分の中に育とうとする。
失う恐怖と悲しみは私を飲み込み怪物になって、自分を守る為に言葉をナイフに変えて振り翳す。
静謐な湖のような穏やかで静かな日々を求めるのに、荒れ狂う嵐の波に溺れている。
自分が生きる事の不自然さと違和感が苦しく、それは自分の愚かさや怠惰や甘えや努力不足だと責められ、自分を閉ざして遠くへ行く事で耐えるような日々だった。
自分の事も他人の事も信じず受け入れてなどいなかった。
触れられたくなかったし触れるのは怖かった。
一人きり自然の中にいる時にだけ、私は呼吸が出来た。
植物や動物に触れる時だけ、慈しみを感じられた。
ある日、この生き辛さは幼少期の経験によって齎された呪いであり、病名が付く事を知り、込み上がる後悔で胸が苦しくなり、申し訳無さと不安と混乱で泣き崩れた。
病気である事をずっと許されていなかった。
だけど私は病名があった事に安堵した。
何故苦しかったのか、これからどうすれば良いのか、知る事が出来ると思ったから。
気付くまで長かったな。そう思うとまた泣きたくなった。
本当はね、誰もいないずっと、ずっとずっと遠くへ行きたかったけど、安心出来る温かな布団へ帰りたかったのかもしれない。
一人きりになって、透明な幽霊になりたかったけど、手を繋いで此処にいても良いと思いたかった。
きっと誰にも届かないし、誰にも分からないと思っていたけれど、誰かに届いて訊いて欲しかったのかもしれない。
面白い事や楽しい事、綺麗なものを教えて欲しかった。
生きていても良いんだよと、許されたかったね
大丈夫だよと、言われたかったね。
命が踊りだす自由な子供でいたかったね。
ねえ、大切だから此処に居るんじゃなかったの。
愛おしいから、それでも此処に居るんじゃなかったの。
自分を、誰かを 影を 光を 植物を 風を 動物を、鳥を 心を 体を。